2012年1月20日金曜日

それ津浪 機敏に高所へ

今日は、桜の植付申込をいただいた場所の
植付場所や条件等の確認に、広田町へ。

陸前高田市の東の方にある広田半島の先端、
広田町には普段あまり行くことは無いのですが、
確認地の割当で広田町担当になったので、
最近はほぼ毎日のように通っています。

半島の突端から海を見ると、松島のように
岩の小島がそこかしこに見られ、
そこからまっすぐに伸びる松が印象的な、
本当に「日本の海は美しい!」と思わせる町です。


そんな広田町での現場確認の1件が終わったとき、
所有者の方が「あんたはあの碑を見たことがあるか?」と。

時間もあったので、ご自宅から30mくらいのところにある石碑を見に。
2mくらいの高さの石碑には、
四面に津波に関する注意喚起の文言が刻まれていました。



「それ津浪 機敏に高所へ  広田村」が二面。
「低いところへ住居を建てるな」(的な内容の文言)
「津浪のとき 慾捨てて逃げろ」(的な内容の文言)

昭和九年に立てられた碑とのことで、
土地所有者の方も「物心ついたときからここにあった」とのこと。

帰る途中、別の部落を通っていたとき
ふと道路傍を見ると、同じ石碑が。

どちらも苔はついているのですが
ぴかぴかに残されているふたつの石碑を見て、
これを大切に守ってきた広田町の方々の思いを思うと、
同じ、怖い思いをした、過去の人々の思いが
きちんと残っていることを思うと、
胸にぐっと来ました。

そして、過去に同じように考えて、
未来を(つまり現在を)生きる人のために
言葉を残してくれた人がいた、
時を越えて、思いを同じくする人がいたということに感動しました。

複雑な思いで桜を見上げるようになるだろう人々、
未来の人々、と思っても、遠い未来のようで目がくらみそうですが、
きっと、未来の彼女も、今日の私のように桜を見上げて、
何か少しでも胸に思いを抱くことができるように。

そんな風に思いを新たにしました。

願わくば、私たちの植える桜の木も、
この石碑のように、この石碑の傍らで、
一緒に、お互いに、美しいこの町を見守っていくことができますように。

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